今回は、睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome=SAS)について解説していきたいと思います。
みなさん、この睡眠時無呼吸症候群という言葉を聞いたことがありますか?けっこうみなさん知らない方が多いのではないでしょうか?この睡眠時無呼吸症候群は、寝ている時に起こる症状のため気づいていない方が非常に多いと言われています。また、放置しておくと眠気による事故などで最悪死に至る場合もあります。ぜひこの記事を読んでご自身に思い当たる節がないか確認してみてください。
睡眠時無呼吸症候群とは
まず、睡眠時無呼吸症候群とは、眠っているときに呼吸停止または低呼吸の状態が引き起こされる病気のことです。先程お話したように寝ているときに起こる症状のため自覚していない方が非常に多く、潜在患者さんは200~300万人にのぼると言われています。症状の中に非常に強い眠気というものがあるため、長距離トラック、長距離バスの運転手、電車の運転士などの方は事故の危険性があるため国土交通省を中心に積極的な対策がおこなわれているようです。
睡眠時無呼吸症候群の原因は?
睡眠時無呼吸症候群の原因には2種類あります。閉塞性と中枢性です。一般的に睡眠時無呼吸症候群というと閉塞性のことを指す事が多いです。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群とは
寝ているときに上気道がふさがってしまうことで起こります。これが起きる原因には、肥満による首周りの脂肪のつきすぎ、扁桃肥大、アデノイド(鼻の奥とのどの間にある咽頭扁桃と呼ばれるリンパ組織の肥大)、上気道への舌の落ち込みがあります。
また、下のあごの骨格が小さいことによる原因もあります。これは、舌が入るスペースが狭いため、舌が後ろに落ち込みやすくなります。さらに、少し脂肪がついただけで上気道がふさがれやすくなります。
また、日本人は欧米人と比べてあまり太ってなくても睡眠時無呼吸症候群になりやすいと言われていますが、あごの骨が小さいことが関係していると考えられています。
中枢性睡眠時無呼吸症候群とは
脳による呼吸のコントラールがうまく効かなくなることが原因です。
睡眠時無呼吸症候群の症状は?
症状としては、無呼吸または低呼吸が挙げられます。無呼吸とは、気道の空気の流れが10秒以上止まった状態と定義されています。この無呼吸状態は、睡眠中に起こるため、本人は気づかない事が多いです。そのため、家族や身近な方に指摘されて発覚することが多々あります。その他の症状として、日中に強い眠気、夜間の頻尿があります。また、無呼吸状態による体内の酸素不足から朝起きた際の頭痛があります。
睡眠時無呼吸症候群の検査・診断について
検査としては、血液中の酸素濃度を調べるパルスオキシメータと呼吸センサーをつけて睡眠時の呼吸状態の検査があります。これは、自宅でも行なうことができます。簡易検査から睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合は、1日入院して終夜ポリソムノグラフィー検査を行い、無呼吸や低呼吸がどのくらいの頻度で起こっているかを調べて診断していきます。
睡眠時無呼吸症候群の治療について
治療方法としては、生活習慣の改善、パウスピースの使用、CPAPなどがあります。
生活習慣の改善について
睡眠時無呼吸症候群の原因に肥満があります。そのため、生活習慣を改めて体重を減らしていくことが必要です。
マウスピースの使用
マウスピースを使うことにより下の歯が前に出された状態で睡眠することによりいびきの解消や舌ののどへの落ち込みの防止を行なうことができます。マウスピースは医科の方からの紹介状があれば保険適用となります。
持続性陽圧呼吸療法(CPAP)
症状がかなり進行しているケースの場合は、この持続性陽圧呼吸療法が行われます。これは、睡眠の際にマスクを装着し鼻から空気を送り続けることによって気道を開く方法です。
このように睡眠時無呼吸症候群は気づかれないことが多く、非常に危険な場合もありますので、もし疑わしい場合は、歯科や耳鼻咽喉科でご相談ください。