子供の歯のケガについて。

今回はお子様のお口のケガについて解説していきます。

診療をしていると一定の頻度で子供が口もしくは歯、あごをぶつけたと飛び込んでくる急患のお子様がいらっしゃいます。ほとんどが公園などで遊んでいてぶつけたというケースが多いです。その場合のケガの状態について解説します。

子供の歯のケガ
子供の歯のケガ

①あごをぶつけた場合

あごをぶつけた場合は、あごの骨折や歯のダメージをレントゲンなどで調べます。もしあごが骨折していた場合は、整復や固定が必要になる可能性があります。また、あごをぶつけたからといって歯は関係ないかというとそうではありません。歯にも当然なんらかのダメージがある場合があります。レントゲンを撮って歯にヒビが入っていたり、折れていたりする場合は処置が必要になります。また、もちろん傷口の消毒や投薬が必要になるケースもあります。

②前歯をぶつけた場合

この前歯をぶつけるケースが非常に多いです。お子様はまだ反射が鈍い部分があるため、たおれたときに反射的に手で支えることが難しいため、歯をぶつけやすいです。そして、上の前歯が一番ぶつけやすい場所になります。ぶつけた場合の強さにもよりますが、歯が脱臼(完全に抜け落ちていはいないが、元の位置から動いてしまうこと)したり、完全に抜け落ちたり、残っているが強い力による捻挫や炎症がおこったりすることがあります。また、歯のまわりの歯茎にも傷ができることが多いためかなりの出血がおこります。

このようにぶつけた場所によって症状や状態は様々です。

ただ、どちらにしても一度歯医者さんに行って調べてもらうことが大切です。あごを打ったからといって歯医者さんに行かないと後から歯に症状が出てくることがありますので、注意してください。また、歯が折れた場合は歯を抜く処置が必要になる場合があります。

また、ぶつけた歯が折れたり割れたりしていなくても後日歯の神経が死んでしまう場合があります。その場合は少しずつ歯の色が黒く変色してくることでわかります。ぶつけたことで歯の神経にダメージが起こってしまうのです。

もし、歯が完全に抜け落ちてしまった場合は、その歯を牛乳につけてもってきてもらうか、きれいな状態であればお口の中に含んで持ってきていただけるとそれを元に戻すことができる可能性があります。とにかく乾燥させないようにしてください。乾燥させてしまうと歯の根っこの表面にある歯根膜の細胞が死んでしまい元に戻せなくなってしまいます。ぜひ知っておいていただければと思います。

お子様のケガはどんなに気をつけて見ていても起こってしまいます。そのため、その後の対応をしっかり意識しておくことが大切かと思います。それでは今回はこの辺で失礼します。


子供の歯磨きのコツ。

今回は多くの方が興味を持っているお子様の歯磨きについて徹底解説いたします。まずは、お子様の歯磨きに重要な歯磨きグッズについて説明していきます。歯磨きグッズが揃っていないとしっかりとした歯磨きができませんので、ぜひ揃えてください。

歯ブラシ

まずは、必須アイテムの歯ブラシです。

歯ブラシ
子供用歯ブラシ

歯ブラシはいろいろなものが市販されているので選択するのに迷ってしまうと思います。まず、ポイントは硬さです。かたい、ふつう、やわらかいとあると思いますが、オススメはふつうです。かたいのは汚れは取りやすいのですが、毛先が曲がらないため歯茎の中の汚れがうまく取れません。やわらかいのは汚れ自体がなかなか取れにくいため虫歯予防には一番適していないです。ということで、ふつうが一番良いと思います。次にヘッドの大きさです。これは、市販のものであれば年齢で分けてあることが多いです。0歳~3歳用や4歳~7歳用など年齢別にヘッドの大きさが別れていますのでその年齢に合わせて選んでいただくのが良いかと思います。ヘッドが大きすぎるとお口の中にうまく歯ブラシが入らず奥の方までしっかり磨けません。逆に小さすぎると歯磨きの効率が悪く非常に時間がかかってしまいます。そのため、特に小さなお子さんの場合は集中力が切れてしまい歯ブラシに飽きて疲れてしまいます。そのため、一番適したヘッドの大きさを選んでいただくことが重要です。

歯磨き粉(歯磨きペースト)

次に歯磨き粉についてです。今は昔のように粉ではなくペースト状のため、歯磨きペーストということもありますが、一般的には今でも歯磨き粉と呼ばれています。

歯磨き粉
歯磨き粉

歯磨き粉についてもたくさん市販されていますのでどれを選んでいいか迷ってしまうかと思います。まずは、フッ素の濃度を見てください。子供の場合、虫歯になるリスクが高いため、フッ素が重要になってきます。だいたい950ppm入っていれば十分です。あとは、いろいろな味があるものをオススメします。お子様は歯磨きがあまり好きではありません。そこで、いろいろな味のある歯磨き粉を使うことによって楽しみを作りモチベーションアップすることが大切です。当院ではこのチェックアップという歯磨きを推奨しています。どの味も人気で小学生になるとレモンティーが人気です。ぜひ試してみてください。

フロス

次にフロスです。以前フロスに関してはブログで詳しく記事にしていますので、ぜひご覧になってみてください。

子供用フロス
子供用フロス

フロスは必ず子供用フロスを使ってください。大人用のフロスでは大きくてうまくお口の中で動かせません。子供用フロスは市販ではなかなか見かけませんので、歯科医院で購入してみてください。フロスに関しては、使用がお子様にははじめは難しいため、ご両親がやってあげてください。もちろんお子さんが慣れてきたら自分でもできるように練習させてみてください。

指磨き(フィンガーブラシ)

みなさん、フィンガーブラシをご存知でしょうか?下の写真のようなものです。

フィンガーブラシ
フィンガーブラシ

このフィンガーブラシは、とてもオススメです。0歳くらいのお子様でまだ歯があまり生えてない場合に使います。汚れをおとすことに優れているわけではありませんが、歯ブラシの練習にはとても良いです。小さなお子様はお口の中に物が入ってくることを嫌がります。そのため、いきなり歯ブラシを使うとすぐに歯ブラシの毛が駄目になってしまいます。また、急に動いたり暴れたりしたときに歯ブラシが喉をついてしまったりしては非常に危険です。しかし、このフィンガーブラシはゴムでできており安全です。また、手に装着して使うもののため、細かい動きがしやすいです。ゴムのため、噛まれてもお互いあまり痛くありません。このようにフィンガーブラシに慣れた後に歯ブラシに変えていくことがオススメです。

次に虫歯になりやすい場所はどこかについて解説します!

虫歯になりやすい場所は3つあります。

1.奥歯の溝

奥歯の溝
奥歯の溝

一番知られているのがこの奥歯の溝です。ここは、小さな溝に目に見えない汚れや細菌がたまって虫歯になります。歯ブラシの毛先が入りにくい場所のため虫歯になりやすくなっています。チョコレートやキャラメルなど歯に残りやすい食べ物を食べた後はしっかり磨くようにしましょう。

2.前歯の歯と歯の間

前歯の歯と歯の間
前歯の歯と歯の間

次に、前歯の歯と歯の間です。ここは、食べ物がはさまったままになりやすく虫歯になります。食事のあとにできるだけフロスを通して汚れを落とすようにしてください。見える場所のため虫歯になると治療後に見た目が悪くなってしまうことがあります。

3.奥歯の歯と歯の間

奥歯の歯と歯の間
奥歯の歯と歯の間

最後が奥歯の歯と歯の間です。ここも非常に虫歯になりやすいです。奥歯は歯の形が大きくなっていますので、前歯よりももっと食べ物がはさまりやすくなっています。そのため、歯ブラシでは汚れがとれにくくなっています。また、食べ物がはさまったままになっていると歯肉炎を起こし歯周病も進行してしまいますので、特に注意が必要です。

以上のように子供の虫歯になりやすい場所は3ヶ所あります。この部分を知っておくことによって特に意識して磨くことのより虫歯予防をおこなうことができます。この部分を集中的に磨いておけば虫歯にならないといっても過言ではありません。まとめとして、子供の虫歯予防には、適した道具と虫歯になりやすい場所の徹底したお掃除が不可欠になります。ぜひ以上のことを参考に実践してみていただければと思います。それではこのへんで失礼いたします。

フロスが虫歯にならないポイント!!

みなさん。こんにちは。今回はタイトルにある通りフロスの重要性について解説していきます。

みなさんは歯磨きのときに毎日フロスを使っていますでしょうか?

実はあまり使っていない方が多いのではないでしょうか?ハブラシさえしっかりやっていれば虫歯や歯周病にならないと思っている方が非常に多いです。当院の患者さんでもずっとそう思っていたとびっくりされる方がいらっしゃいます。実はそれは大きな間違いなのです。フロスは絶対に使う必要があります。歯と歯の間には見えない小さな汚れが残ります。その汚れは、ハブラシではなかなか取れません。そのため、歯と歯の間から虫歯になることがとても多いのです。

欧米では、フロスは当たり前のように使用されています。日本のように柄のついたものではなく糸が巻かれただけのフロスを持ち歩いている人がとても多いです。欧米は、歯科治療が自費診療であり高額であることと、歯の美意識が高いため、虫歯にならないように常に意識している方が多いです。そのため、フロスの使用の意識も高くしっかりと使用しています。

当院でもフロスの重要性は常に説明していますが、なかなか浸透しない部分があります。なぜ日本人では浸透しにくいのかは賛否両論ありますが、やはりまだまだ歯科に対しての意識が低いということなのかもしれません。この部分は我々歯科医師の力不足の部分だと反省しています。

さて、先程書いたとおりフロスにはいくつも種類があるのですが、大きく分けると2つあります。柄の付いたフロスと糸だけのフロスです。どちらがご自身にあっているのでしょうか?

柄の付いたフロスについて

柄のついたフロスは、市販されているもので一番多いです。特徴としては、柄がついているため持ちやすく使いやすいという点が一番のメリットです。ただ、毎日使うものとしてはコストがかかります。また、切れるまで何度も使うため衛生的にしっかり管理しないと汚れてしまいます。汚れたフロスでお掃除しても逆に汚れを歯と歯の間につめこむだけになってしまいます。

糸だけのフロスについて

糸だけのフロスは、柄のついたものと比べる使いにくいというデメリットがあります。ただ、慣れてしまえばそこまで難しいものではありません。メリットとしては、コストがかからないという点です。そのため、毎日使うことができます。また、毎回使い捨てのため、衛生的にきれいです。また、持ち運びも簡単なため、外出中や旅行中でも使用することができます。キーホルダータイプのものもあり、バッグなどの着けておくこともできます。毎日毎食フロスを使用する欧米の方にとってはこのメリットが好まれるポイントなのだと思います。

またフロスには子供用のフロスもあります。通常のフロスだと大きいためお子様のお口の中には使いづらいです。そのため、子供用のサイズのものを使っていただくことが望ましいかと思います。子供用の場合は、柄のついたタイプとなります。糸だけのタイプですとお父様お母様が行う場合、大きな指をお子様のお口の中に入れる必要があり、嫌がります。

子供用フロス
子供用フロス2

子供用フロスは市販ではなかなか見ないため、歯科医院で購入する方がよいかと思います。ぜひ試してみてください。

フロスを通したほうが良い場所をご説明します。

①まず奥歯の歯と歯の間です。

奥歯の歯と歯の間
奥歯の歯と歯の間

この奥歯の歯と歯の間はとても重要です。この部分から虫歯になることが非常に多いです。奥歯は歯の形が大きいため汚れが残りやすくさらに、取りにくくなっています。歯と歯がぶつかる面積が大きいほど汚れは残りやすくなります、そのため、毎食後に必ずフロスを通すようにしましょう。

②前歯の歯と歯の間

前歯の歯と歯の間
前歯の歯と歯の間

この上の前歯の歯と歯の間も非常に虫歯になりやすい場所です。しかも、意外に虫歯になっても気づかないことが多くあっという間に大きくなってしまうケースがあります。また、よく見える部分のため、治療によって審美性は悪くなってしまいますので要注意です。

このようにフロスを通さないと虫歯になりやすい部分がありますので、特にこの部分に関しては意識してお掃除する必要があります。ハブラシだけの歯磨きでは、虫歯予防に限界があります。フロスは補助的な道具ではなく歯磨きに必須の道具だと知っておくことが重要かと思います。一生懸命歯磨きをしているのに虫歯ができる方はフロスを使用していないまたは足りない可能性があります。一度この部分を見直してみてはいかがでしょうか?

以上のようにフロスの重要性を今一度考え直していただければと思います。お口の中の状態が劇的に改善されるかもしれません。それでは今回はこのへんで失礼いたします。